感染症が流行するときに使われる用語はたくさんあります。 パンデミック、アウトブレイクの違いを説明していきます。
特定の「人々」・「地域」の中で、感染が見られる状態。 地域的に狭い範囲に限定され、患者数も比較的少なく、拡大のスピードも比較的遅い状態であり、「流行」になる以前の状態。 エンデミックは風土病を含みます。
特定の集団で、特定の一時期に感染症が広がる状態。 特に、感染者集団が突発的に規模を拡大することをアウトブレイクと呼びます。
特定の集団が規模を増して、特定の地域を超えて国中や世界中で、感染症が流行すること。
WHOでは、パンデミックまでの各フェーズを以下のように切り分け、フェーズごとの公衆衛生学的な対応策を各国に求めている。 日本ではフェーズ3以降をさらにA(海外で発生しているが,国内では発生していない)、B(国内で発生している)に細分し、それらに適合した対応ガイドラインが設定されている。 なお6段階ではなく3段階に分けた用語と、6つのフェーズの関係は次の通り。
ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、ヒトへ感染する可能性を持つ型のウイルスを動物に検出。 このフェーズでの対策の目標:世界、国家、州、県、都道府県、コミューン、市区町村のそれぞれのレベルで、パンデミック対策を強化する。
ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、動物からヒトへ感染するリスクが高いウイルスが検出 このフェーズでの対策の目標:ヒトの感染拡大のリスクを減少させ、仮にヒト感染が起きたとしたら、迅速な検知、報告が行われる体制を整備する。
ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的に無い。 このフェーズでの対策の目標: 新型ウイルスを迅速に検査診断し、報告し、次の患者発生に備える。
ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている。 このフェーズでの対策の目標:隔離をはじめとした物理的な封じ込め対策を積極的に導入し、ワクチンの開発と接種などを事前に計画し、準備した感染症対策の実施に必要な 時間的猶予を確保するために、最大限努める。
ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認され、パンデミック発生のリスクが大きな、より大きな集団発生がみられる。 このフェーズでの対策の目標:フェーズ4での目標と同じ
パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している。
パンデミックが発生する前の状態へ、急速に回復している。 このフェーズでの対策の目標:パンデミックによる多方面への影響を評価し、計画的復興と対策の改善を実施する。
オーバーシュートはもともと金融用語で、「相場や有価証券の価格の行き過ぎた変動」を指す用語です。 相場や有価証券の価格が実際の価値から外れてしまう原因の一つに、取引を行う人間が合理的な意思決定を行えなくなった状態とも言えます。 「感染者の観測数」と「感染者の未観測数」のズレを指して、この用語が感染症で使われたと考えられる.